国内でのBSEへの対処策として緊急課題となっている牛の固体識別法「耳標(じひょう)」についての解説です。
個体識別とは?
一頭の牛を生涯唯一の番号で識別・管理するシステムです。

このシステムを使えば、伝染病発生時に瞬時に牛の移動状況がわかり、迅速な防疫対策を講じることができます。
出生までさかのぼって生産情報を提供する基盤が整備されるので、消費者に安心して食べてもらうことができます。
個体識別番号を使えば、経営内で個体の取り違えがなくなり、血統や枝肉情報などいろいろな情報を個体識別番号を鍵にして取り出し、連結して分析することができるので、高度な経営判断に役立ちます。
現在は、それぞれの農家や団体が独自の個体番号や耳標を使って一頭の牛を管理していますが、個体識別システムでは番号を一本化し、すべての用途でこれを利用します。
全国データベースには、一頭毎に性別、生年月日、出生地、所在地などの基礎情報を蓄積し、関係者はこれらの情報を共通して使います。



BSEとは、「牛海綿状脳症」と呼ばれ、日本では「狂牛病」とも呼ばれています。
1995年に、牛の病気のBSEが人間に移った可能性が言われ、96年3月20日英国政府は、新変異型クロイッツフェルト・ヤコブ病で、10名の若者中心に感染したと伝えました。
人間に感染する、と言うので世界がパニックになったのです。

BSEは1986年にイギリスで発見され、世界で約18万頭の牛が感染した。そのうち98%がイギリスでの発生です。2001年に日本でも3頭が確認されました。
1994年が発生のピークで、その後発生は少なくなってきています。
イギリスは、BSE発見当初も、厳しい対応を取ら無かったことも事実で、その不手際がヨーロッパから日本へと発生した要因になっています。

BSEの発生原因と考えられている「牛肉骨粉」の製造をイギリスは88年に中止し、89年には、異常プリオンが多く含まれている可能性の高い内臓肉の消費を禁止しました。
日本もイギリスからの肉骨粉の輸入を禁止したが、肉骨粉の一部が輸入されて、それが日本での発生原因になっている可能性が高いと言われています。
肉骨粉を食べていた肥育牛は2001年10月の農水の調査では15道県の5,100頭が肉骨粉か、肉骨粉の混ざった餌を食べていた事実が判明しました。
5,100頭のうち約4,800頭(約94%)は搾乳用の乳牛で、肥育牛は約300頭でした。
(イギリスでも、BSE感染牛の8割以上が老廃牛であり、肥育牛は少なかった。)

日本では、発生の危険が予想される牛は特定されていると言えます。
日本は、「全頭エライザ ELASA法検査」を採用し、すべての牛を検査し、安全な牛肉しか出回らないシステムを確立しつつあります。
「全頭調査」と言うのは、世界でも日本だけの最も安全なシステムで、すべての牛を調査することによって、危険な牛肉を消費者が食べないようにするシステムとなっています。

従って「BSE」の感染牛が発見されれば、それ以外は「安全な牛肉」であると言えるのです。
BSE検査合格と言うのは安全な牛肉という意味となります。

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